ミックの民事再生
ミックは、平成12年3月に民事再生を申立しました。民事再生申立にいたる経緯は下記に記載のとおりでございます。民事再生申立の後、ミックグループ内での事業再編を実施し、皆様のご支援を戴きながら、事業再建をしてまいりました。
これも偏に、弊社のアルミキャスト(アルミ鋳物)の変わらぬご採用を戴いた設計事務所様、「三和タジマ」様をはじめとしますアルミキャスト(アルミ鋳物)の販売をして戴きました皆様、生産資材の納入業者の皆様、「三井住友銀行」様の金融面からのご支援、そして再生申立後も残って頑張ってくれた社員の皆様のお陰と深く感謝申し上げているところでございます。
弊社は、昭和43年まで鉄鋳物の五右衛門風呂はじめ鉄鋳物製品の製造を致しておりましたが、時代の流れで鉄鋳物製品の売り上げが全くない状況になりまして、鉄鋳物からアルミキャスト(アルミ鋳物)へと事業転換いたしました。
しかし、アルミキャスト(アルミ鋳物)は建築材料としてはたいへん高価な材料でしたので、建築単価の高い建物しか使われてなく、殆ど東京をはじめとする大都会に使われておりました。また、先発メーカーに大手の上場企業などが需要地の近くあったため、遠い南九州からの営業は困難を極め、「そんな片田舎でこんな物が出来る筈がない」などと言われ、たいへん悔しい思いも何度となくいたしましたが、少しずつご支援戴く方が現われるようになりまして、実績を積み上げていくことが出来るようになりました。
当初は、900mm×12mmまでの大きさのパネルを造っていましたが、建物の様式の変化もありまして大型パネルが要求されるようになりました。
そこで、昭和49年1200mm×4000mmの出来る設備の導入をいたしました。ニーズにマッチした製品ができるようになり受注が急速に伸び、2号機の設備導入をいたしました。
昭和50年になりまして近代的な大型ビルが東京を中心に建設されるようになり、アルミキャスト(アルミ鋳物)も更に大型のパネルが求められるようになりましたので、昭和56年需要地に近い栃木県益子町に1500mm×5800mmの大型パネルができる工場を建設いたしました。
しかし誠に残念なことに鋳物プラントを製造していた先が倒産いたしまして設備の導入が大幅に遅れました。発注先の商社は、別の設備メーカーより鋳物プラントを調達しましたが、この設備の稼働が当初より2年も遅れて始まりました。
折から日本はバブル景気に湧き上がっており、東京を中心に多くの都市再開発が行われるようになって、弊社でも大型プロジェクトのアルミキャスト(アルミ鋳物)の仕事を抱えておりましたが、納期の遅れを大いに懸念いたしました。
この困難をどうにか切り抜けることができましたが、納入された設備の度重なる不具合のため、生産は事業計画を大幅に下回ることとなりました。
しかし、関係者の努力もありまして生産が順調に上がるようになった矢先に、永年取引をいたしておりました銀行から支援を戴けなくなりました。
事業計画の支援を止められたため、止むを得ず民事再生を申し立てることとなりました。
しかし、今まで培って参りました技術の離散もなく、冒頭申し上げましたように皆様のご支援もありまして、納入実績(→実績一覧表)にありますように民事再生申立後も多くの製品を納品させて戴きました。「新丸ビル」など皆さんの良くご存知のランドマーク的なビルにも多くご採用戴けるようになりました。
誠に有り難いことと感謝申し上げているところです。
今後、ご迷惑やご心配をお掛けした皆様に恩返しが出来ますよう、更に技術の研鑽を重ね建築文化の一翼を担えるよう社員一丸となって頑張って参りたいと考えております。
平成24年9月
取締役会長 松元 優哲